第58章 初恋の再会
「幸男さん…すごく顔が…」
「……っ…誰のせいだと思ってんだよ。」
「………?」
「鈍感すぎだろ…
はぁ……マジで今日出かけたくねえ…」
「…もしかして…どこか体調悪いんですか…?」
「ちげえよ…いちいち…言わなくてもわかるだろ…」
幸男さんの顔はいつもよりも赤く熟したトマトのように耳まで真っ赤になっている。体調がどこか悪いのかと思い離れようとしても幸男さんにきつく抱きしめられたまま動くこともできなかった。
「幸男さ…く…苦しいです…」
「っ…聖知……いや……何でもねえ…」
幸男さんの胸板に押し付けられたまま、だんだん抱きしめる力も強くなり抗議の声を上げると、赤くなった顔でしばらく私を見つめたままフイっと顔を逸らされる。
「あの…どうかしました…?」
「なっ…何でもねえよ…」
「でも…さっき体調が…」
「だっ…だから…違うって言ってんだろっ…」
それから話しかけても幸男さんは私を見ようとはしてくれず、ずっと私から顔を逸らしたままの状態だった。
朝は普通だったのに…
明らかに様子がおかしい
2階に連れてきたのは幸男さんなのに…
今は私に背を向けて面して話す事もしてくれない…