第58章 初恋の再会
「どう?可愛いでしょ!
ほらほら…聖知ちゃんもう少し近づいてっ…」
「ちょ…あんまり近づけないでくださっ…」
るみさんに手を引っ張られ、幸男さんに見られていると思うと恥ずかしくなる。久しぶりのこのデザインに似合っているか分からず不安な気持ちでいるとるみさんによって幸男さんにさらに近づけられる。
「どう?幸男…聖知ちゃん、可愛いでしょ?」
「…………」
「っ……」
「………?
ちょっと…幸男…聞いてるの?」
幸男さんは私をじっと見つめたまま何も言わない。
やっぱり…似合ってないのかな…
何も言わない幸男さんをよそに床に落ちてる月バスに目が入る。るみさんは幸男さんの目の前で手をヒラヒラかざしながら呼びかけても返事はなかった。
「あの…落としましたけど…」
「っ…!
なっ…っ…」
「菜…?」
幸男さんが落とした月バスの冊子を拾い近づいて返そうとすると、幸男さんの顔がみるみるうちにトマトのように赤くなる。
渡そうとした冊子を受け取ることなく、話しかけると後退りして顔を隠し見ないようにしている姿『やっぱり似合っていないんじゃないか』と不安や恥ずかしさの気持ちが出てくる。