第58章 初恋の再会
––笠松家の寝室––
「さて、聖知ちゃん、約束してくれたわよね!」
「え…あ、はい…」
「ほら、こっちに来て?」
ルミさんに部屋に連れてこられると、キラキラした表情で朝約束したお願い事の話だと思いじっとしていると3面鏡台の前の椅子に座らせる。
私が起きて間なしの頃、ルミさんにお願いされた事
『髪を触らせてほしい』
お世話になりっぱなしで、髪を触るぐらいならと一つ返事で承諾して今に至る…
「私の思った通り…聖知ちゃん、すごく髪が綺麗…まるでシルクみたい…髪は切った事ないの?」
「そんな…覚えてる限りは切ったことないです。」
「今日、聖知ちゃんの髪をヘアアレンジさせてくれないかしら…私こう見えて上手なのよ?」
鏡ごしにルミさんが私の髪を触りながらうっとりとしている姿が見える。髪を褒められたのは初めての事で少し照れくさい気持ちに浸っているとルミさんからの提案に考え込んだ。
「ルミさん…でも…」
「お願い…聖知ちゃん…」
「わ…わかりました。少しなら…良いですよ。」
振り返り断ろうとするとルミさんはキラキラとした眼差しでお願いされ断るに断り切れなかった。