第58章 初恋の再会

「私だって…寂しいって……幸男さんに泊まりに来てもらって…一緒に手繋いで寝てもらった事ありますから…」

「っ……！」

「幸大君たちの事、言えないですね。あ…朝ごはんできてるみたいなので下にっ…」


少し寂しげに話す聖知を見ると後ろからギュッと抱きしめた。

聖知には寂しいとか、悲しいとかそんな不安な気持ちを少しでもさせたくねえ。



屋敷であったことをふと思い出した。

結局お芝居だったが…俺が思っている以上に聖知がひどい環境で育ったんだと悟った。

間違った価値観を押し付けられて、言う事を聞かないと存在を否定される。そんな粗悪な環境で過ごしてきたんだとと知った時、聖知をずっと守りたい…そう思った。


権力なんか関係ねえ…
ずっと、寄り添って支えたい。
これ以上傷ついてほしくない。


頭の中で気持ちが入り交じるのを感じながら抱きしめ続け、俺は聖知に語りかけるように話した。


「寂しい時だろうが…どんな時でも…いつでも側にいる、そう約束しただろ？甘えんのは誰でもすることだ…だから…聖知が甘えたい時は遠慮なんかすんな…」

「幸男さんっ……」


俺の言葉に聖知がどんな表情をしているかはわからない。

だが…抱きしめている腕に聖知の手が重なり、俺に委ねるように背中を預けて寄りかかる。頬を赤く染めながら振り向き、嬉しそうに笑顔で俺の名前を呼ぶ聖知を愛しく思いそのまま顔を近づけ唇を重ねた。