第58章 初恋の再会
「お姉ちゃんっ…一緒に寝て良いよね?」
「一緒の方が楽しいもんっ!」
「……へ…?」
「こらっ…お前ら良い加減にしろよっ…」
幸也達は前触れもなく聖知に縋るようにギュッと抱きつき、俺が制止する言葉よりも聖知からの肯定の言葉を待つようにじっと見つめている。
聖知は状況がわかっていなくて仕方なく、朝の出来事の話をした。
「なるほど…そうだったんですね…」
「お姉ちゃんっ…一緒の方が楽しいし、一緒に寝ても良いよね?」
「絶対一緒がいいっ…!」
「幸也くんたちは、なんで今日一緒に寝てたの?」
「…兄ちゃんがいなかったから…多分バスケの練習に出かけたと思って…」
「いつも朝早くに練習してるから…」
「っ…!」
「そっか…それで寂しくて一緒の布団で寝てたんだね。」
聖知がその場に座り優しく弟2人に聞くと、俺の知らなかった話が出てきて驚いた。
いつものルーチンワークだと思って俺はこなしていたが…幸也達はいつも母さんと一緒だったのを思い出し、改めていつもと違う環境に俺がいないのを見て不安を覚えていたことに頭が回っていなかった。
「いつも幸也くんや幸大くんが寝ている場所、私が寝ちゃってたんだもん…寂しい気持ちにさせてごめんね?」
「っ…そ…」
「お姉ちゃんなら使っていいよ!」
「一緒にベッドで寝たいっ!」
「っ……!」
俺が言う前に、弟2人は相変わらず一緒に寝ることを諦めていなくて必死の思いで聖知に伝える。ベタベタ甘えているのを見ると、聖知を取られたように感じ段々イライラした気持ちが強くなってくる。