第13章 ライバル
「笠松…またお前か…そこを退け。」
「言ったはずだ。水瀬には近づくなってな…。」
「ハッ…玩具をどうしようと俺の勝手だろ?」
「水瀬は玩具じゃない。これ以上こいつを苦しめるな。」
「てめえに関係ないだろ?それとも笠松…お前、この女に惚れてんのか?」
「…お前には関係ない。水瀬…いくぞ。」
笠松先輩は花宮を睨みながら私を庇うように言うと私の手を引いてその場から離れて歩いていく。
「悪い…1人にするべきじゃなかった。あのクソヤローに何もされていないか?」
「あ、謝らないでください…髪を掴まれただけなので…」
「されてんじゃねーか…あの態度からしてしばらくは1人になるのは控えた方がいいな…」
帰り道、笠松先輩は心配して家まで送ってくれることになり、花宮と別れてから気まずい雰囲気が流れ笠松先輩の方から会話を切り出した。
「すいません…送っていただいて…」
「ん?…ッ…わ…悪いッ…じっ…じゃあ…明日…朝練でな……」
「ありがとうございました。」
家に着くと笠松先輩はずっと繋いでいた手を慌てて離してそのまま歩いて帰って行った。