第57章 温もり
「なっ…何笑ってんだよ…」
「幸男さんがとても優しいと思って…私…幸男さんが似合ってるって言ってくれただけで幸せです。可愛いって言われると嬉しいですけど…別に無理して言って欲しいわけでは…」
「…誰も可愛くないなんて言ってねえ。」
「…え…?」
変わらず優しい笠松に、聖知は優しく微笑む。
その笑顔を見て、笠松自身の中でドクンッと欲が掻き立てられる。
2人っきりの空間
薄着のナイトドレスから覗ける胸元
なりより聖知の笑顔に笠松は生唾を飲み込む。
笠松は、ボソッと呟く様に言うと聖知の両肩に手を置き、唇が触れそうなくらいの距離まで近づく。
「……っ…可愛いに…決まってんだろっ…先に母さんに言われて…言えなかっただけだっ…」
「っ…!」
笠松の言葉に今度は聖知の顔がみるみる赤くなり、恥ずかしそうに頬を赤く染める。
笠松の母が『可愛い』って言った反応とはまた違い、顔を赤く染めている聖知に笠松はゆっくりキスしようと顔を近づける。
「っ…ゆ…幸男さっ…だ…ダメっ…」
「誰もいねえし…聖知が静かにしてればバレねえ。」
「…んっ…」
いつ誰がくるかもしれない部屋で拒否しようとしても、笠松はキスしたい欲求が抑えきれず聖知腰に手をまわして抱き寄せ優しく唇を重ねる。
優しい口付けに自然と目を閉じて笠松の背中に手を回してお互い抱きしめあい、甘い口付けの余韻に感じあっていた。