第57章 温もり
「まぁ、いいわ…聖知ちゃん、もう遅いし…お風呂準備したから入っちゃって?」
「あ…ありがとうございます。」
「パジャマはこれ使って?返さなくていいから♡」
「えっ…!でも…これ以上は…」
るみさんは、私ににっこり微笑むといつの間に持ってきたのか薄いピンク色の紙袋を私に手渡した。
中には新品のパジャマと下着類が入っていて、『いつ用意したんだろう』って思いながら、もらうわけにもいかず返そうとすると、るみさんの言葉で遮られる。
「聖知ちゃん、着替えなら心配しないでって言ったでしょ?遠慮しないで甘えていいんだから♡」
「…は…はい、大切に使いますね。」
るみさんの優しい表情に、これ以上断るのは失礼だと思い嬉しそうに紙袋を受け取ると、るみさんは幸男さんに向き直る。
「わかってると思うけど、浴室は今から男子禁制!言っとくけど覗いちゃダメよ?」
「っ…のっ…覗く訳ねえだろっ…!俺をなんだと思ってんだ!」
「親がいるのに我慢できずに聖知ちゃんにチューしそうになるくらいだし?」
「っ…!!」
「お…お風呂お借りしますっ…!」
幸男さんは、るみさんの言葉に何も言う事ができず顔がトマトのように真っ赤になっている。
るみさんのカメラのシャッター音が無ければ確実にキスしていた状況に再び思い出し、私も恥ずかしさに耐えきれず逃げるようにお風呂場へと小走りで向かった。