第57章 温もり
「お…俺は似合うと…思う…ぞ。」
「…え…?」
「ほら…幸男も聖知ちゃんの可愛い姿が見たいって♡」
「っ…なっ…!?…よ…余計なこと言うなよっ…!」
幸男さんは照れくさそうに私とワンピースを交互に見つめ、顔がみるみる赤くなり顔を逸らす。私も、るみさんの言葉にドキッとして今度は私の方から幸男さんを見つめるとさっきよりも赤くなった顔ですぐ顔を逸らされる。
「あの…本当ですか…?その…似合うって……」
「っ……!…いや…」
幸男さんが可愛いって…言ってくれるなら…
また、こういうワンピースとか着てみようかな…
そう思いながら幸男さんに聞いても顔が赤いまま、何も言ってくれずお互いに顔を赤らめて顔を逸らしていた。
「あっ!忘れてた!ちょっとお風呂と就寝の準備してくるわねっ!」
「っあ…るみさん…」
るみさんは、思い出したようにいきなり止める間もな、くそそくさにリビングから出ていき再び幸男さんと2人っきりになる。
「聖知っ…」
「っ…!…ゆ…幸男さん…?…どうし…」
るみさんがいなくなると、すぐに幸男さんにキツく抱きしめられ、そのまま後頭部を片手で支えられると優しく口付けられる。
るみさんが見ているかもしれない背徳感と突然の口付けを通してしっかりと伝わってくる幸男さんの温もりに私はゆっくり目を閉じた。