第57章 温もり
「幸男が聖知ちゃんに迫っている所だけど…
親の前で何をやってんのよっ!」
「ちっ…ちげーよ!じょ…冗談で言ったんだっ…!」
「そんな冗談言ったことないでしょ。」
「っ…とにかくもう寝るっ…」
幸男さんは、るみさんの言葉に視線を逸らし顔を赤らめたまま弁解を続ける。
るみさんは、弁解に納得せず説教を続けようとすると、幸男さんは私の手を引きリビングから出ていこうとした。でも、すぐにるみさんが私のもう片方の腕を引っ張り引き止めそれは叶わなかった。
「ちょっと…聖知ちゃんを何処に連れて行く気?」
「…寝る部屋って言ったら…俺の部屋しかねえだろっ……」
「なんで聖知ちゃんと一緒に寝れると思っているのよ。聖知ちゃんは私と寝るから、幸男は幸也と幸大と寝てね♡」
「…っはぁッ!?…なんでそうなるんだよっ…!」
るみさんの言葉に幸男さんは私の手を離すまいと、さっきよりもグイと私を引き寄せる。るみさんもムスッとして負けじと私の腕に抱きついて離そうとしない。
「聖知だって…俺と一緒の方が安心だろっ…」
「そんな事言って…2人っきりになったらまた聖知ちゃんに迫ろうと考えてるんでしょっ…それに、もう幸男の部屋に幸大と幸也寝かせてきたから無駄よっ…!」
「ばっ…考えてねえよっ…!!何勝手な事っ…!」
「っ…あの…痛いです…」
幸男さんに再び強く引っ張られ…るみさんにも再び強く腕を引っ張り、綱引き状態が続き声を漏らすと幸男さんから手を離し、るみさんは満足そうに笑む。