第57章 温もり
私は、促されて家にお邪魔すると、るみさんは温かい紅茶を淹れてくれた。
ファミリーレストランにいる時から幸大君や幸也君は眠たそうにしていて、るみさんは2人を宥めながら先に寝かしつけに行き、幸男さんと室内に2人っきりになる。
「聖知、今日は疲れただろ…悪いな…なんか、母さんにまで話が広がっっちまって。」
「そんな事ないです。むしろ突拍子もない話を信じていただいて…本気で私の心配をしてくれて…感謝しかありません。」
「……ありがとな。明日、朝はゆっくりして昼から出かけようようぜ。」
「はい…今度こそきちんと向き合える気がします。」
るみさんの真剣な目を見ると、誤魔化す事ができないように感じて本当の事を話してしまった。
最初は迷惑をかけてしまって申し訳ない気持ちでいっぱいだったけど…それどころか私自身をきちんと見てくれて、感謝の気持ちでいっぱいに満ちていた。
今なら、わかる。
なぜ話す事ができたのか。
るみさんを幸男さんと重ねて見ていた。
るみさんの優しい眼差しや気持ちは、どれもいつも幸男さんからもらっているものばかりでやっぱり親子なんだなって羨ましくもあり心の底から温かい気持ちになれた。