第57章 温もり
「聖知ちゃんなら…きっとうまくいくわ。だって、未来の私の娘なんだものっ!」
「………へ?」
「っ…ばっ…!ち…違げえからなっ!何言い間違ってんだよっ!」
るみさんの言葉に思考がついていかずもう一度聞き直すと顔がみるみる赤くなっていく幸男さんがるみさんと小声で何やらヒソヒソと話している。
「だって本当のこと…」
「やめろよっ…変な事言うなって言ってんだろっ…」
「何よ…幸男だってもう妄想までしちゃってるんでしょ?」
「っ…!」
「あの…るみさん…」
小声で何やら話をしている2人にそっと話しかけると。るみさんは笑顔ですぐに振り向いて笑いかけてくれる。
「うふふ…なーに?」
「さっきはありがとうございました。るみさんの言葉で気持ちがスッキリできて…前向きな気持ちになる事ができました。突然の話で驚かせてしまってすいません。」
「そんな事ないわ。だって…娘に…」
「っ…母さんっ…!!」
るみさんが言いかけた言葉を幸男さんは慌てて止めに入る。
先ほどから『娘』というワードが飛び交う度に幸男さんは慌てている様子に見え、ふと考えるとある事に気がついた。
「あの…さっきから娘って…」
「っ…聖知ちゃん!ようやく気づいてくれたのね!」
「っ…母さんっ…!…ち…違うからなっ…聖知…これは…っ…」
「るみさん…実の娘のように心配して下さったんですね。本当にありがとうございます。」
「………うーん…あっているようで…違うような…」
「……?」
私の事をそこまで心配してくれる優しい気持ちに、改めてお礼を伝えると幸男さんも、るみさんもキョトンとした表情を浮かべていた。
話が終わると、自然とお腹が空き、ファミリーレストランで一緒に食事をとり、帰りはるみさんが車で送ってくれる事になった。