第57章 温もり
「私……どうしたらいいかわからなくて……その…幼い頃から付き合っていた友人がいて……最近になって今まで私を嫌っていた事を聞いたんです。」
「聖知ちゃん……もういいから……無理に話を繕っても私にはわかるわ。私は、聖知ちゃんと会ってまだ数回だけどなんでも話してほしい…そう思っているのよ。」
「…………」
「1人で悩んでも解決しないし、話してみて…力になるから…」
「……るみさん…」
聖知は話を始めたのはいいものの、咄嗟にやはり躊躇してしまい、省いて話をしようとすると笠松の母親は聖知の手を優しく握る。
嘘だと見抜かれても、未だに全てを話すのを躊躇している聖知を咎める事なく、優しく語りかけるように言われると聖知は包み隠さず全てを話した。
如月家の事
アメリカでの暮らしの事
桐生の事
今日屋敷で起きた事
桐生からずっと恨まれていた事
そして…
自分がこれからどうすべきなのか悩んでいる事
るみさんは、私が話終わるまで口を挟む事なく黙って聞いてくれ、アメリカの話や今日屋敷で起きた話をすると、るみさんの拳が震えていたように見えた。