第55章 証し
「………えっ…」
「申し訳ございませんが…
話が終わるまではこちらでお待ち下さい。
どうしても通るというのなら…
ここからは…力ずくで止めさせていただきます。」
室内に光が一切入らなくなる。
桐生はスイッチのリモコンをしまうと手の関節をボキボキ鳴らし聖知を威嚇する。
「…………わかった…」
「…では…モニターをご覧いただいてお待ちくだ…」
聖知は顔を俯かせて静かに返事をする。
桐生はその様子を見て、聖知がやっと大人しくなったと思い椅子を用意しようと視線をそらした瞬間それは起きた。
「っ……!」
「っ…お嬢様…!?」
桐生が背中を見せると聖知は壁にある隠しスイッチを押すと固定されていた鉄格子が外れる。
桐生が振り向いた時すでに遅く、聖知は扉を開いて部屋から出ていきホールを目指して屋敷を走っていった。
ホールは1F
階段を下りてホールへと続く長廊下を走っている途中に再びいつ先回りをしたのか桐生がホールの扉に立ちはだかる。
「ここまでです。
隠しスイッチのことをご存知だとは…迂闊でした。
貴女という人は……本当に言うことを聞かないガキですね…」
そう答える桐生は聖知の行動を抑制できなかった、出し抜かれたことに対し苛立ちを覚えていた。