第55章 証し
「…宝来、聖知が外にいるから…
連れてきなさい。
それとすぐにこの屋敷に戻る準備を…
聖知は私が良いというまで部屋に幽閉します。」
「かしこまりました。」
「っ…!
まっ…待ってください!」
笠松が何も言わないのを煙草を吸いながら嘲笑うように笑み、後ろにいる燕尾服を着た白髪の中年男性に命令をすると、笠松はハッとしたように…ついホール内に響くような大声を出す。
何……ビビってんだよ…
ビビってる場合じゃねえだろっ……
このままだと…聖知が…
聖知は俺が守るって…
約束しただろっ…
「……私のさっきの話…理解できなかったかしら…
はぁ……これだから…害虫は…」
「俺は……害虫じゃねえ!
聖知とは絶対に別れません。
そうやって…聖知を縛りつけて…満足ですか…
聖知がどれだけ…追い詰められているか…
少しはあいつの気持ちを考えてやれよ!」
笠松は軽く深呼吸をすると目の前の冷徹な目をした女性をしっかりと見据え、冷静に自分の気持ちをぶつける。
しっかりと話をすればわかってもらえる…笠松は説得するつもりで話を進めようとしていたが…返答は意外なもので言葉を失った。