第55章 証し
「そう、害虫。
害虫は早めに駆除しないと…
華を荒らすでしょ。」
「…もしかして…
聖知の…」
「私が、誰であろうと関係ないでしょ。
今すぐ、この屋敷から立ち去りなさい。
そして…聖知には2度と近づかない。
そう約束するなら…見逃してあげるわ。
まだ人生…終わりにしたくはないでしょう?」
笠松はその辺の虫でも見るような眼差しで、スーツからタバコを取り出す。
タバコに火をつけて吸い始めると白い煙がホール内に立ち込める。
「…………」
確証はねえが………
聖知の言ってた…祖母ってこの人のことか…?
思っていた以上に若いっていうか……
………初対面で害虫呼ばわりかよ……
話に聞いてたが…こう…なんつーか……
空気が重くのしかかる重圧感…
赤司とは違うこの威圧感……
喋るだけで精一杯…っていうか……
俺をここに呼び出したのは…
聖知を諦めさせるためか…?
ということは…桐生はやっぱり………
状況がうまく整理できてない状態で、いきなり別れろと言われ拳を握りしめる。
いつかはこうなる状況だと覚悟をしていたはずでも、目の前の女性に臆してしまい笠松は唇を噛み締める。