第55章 証し
–––如月家 ホール–––
「……チッ…開かねえ…
スマホも圏外か…
こっちの声も届いてねえみてえだし…」
笠松はいきなり扉が施錠されると、体当たりして扉を開けようとしたり、扉越しに聖知に大声で声を掛けても反応がない。
離れる前に聖知が言っていた言葉を笠松は思い出す。
『多分…桐生は…
話をするためだけに呼んだ訳じゃないようです。』
これも…桐生の仕業ってことか…?
だが…なんで…聖知と俺を離して…
とりあえず…まずは聖知と連絡取らないとな…
笠松がそう考えていると、暗かったホールのシャンデリアの明かりが急に灯り、背後からコツンッ…コツンッ…とホール内を歩くヒール音が鳴り響く。
「………どちら様かしら。」
笠松が振り返ると、ゼブラ柄のブラウスに黒いスーツに身を纏った女性が笠松を睨みつけている。
「…あの……お邪魔してすいません…
俺は…」
「……笠松幸男…
害虫の1人ね。」
「っ…がっ…!
がい…ちゅう…?」
広いホールの中一気に空気が張り詰める。
笠松は聖知の家の関係者だと思い、自身の事を話す前に自分の名前と『害虫』といきなり言われ困惑する。