第55章 証し
「(…何度見てもやっぱ慣れねえな…)
…聖知…どうかしたか?」
「幸男さん…多分…桐生は…
話をするためだけに呼んだ訳じゃないようです。」
如月家に着くと笠松はお城のような豪邸を見上げる。
前と来た時と変わらず、イングリッシュガーデンが綺麗に整備されており、夕方でも庭を自由に鑑賞できるように敷地内の街灯がいたる場所に設置されている。
聖知は手をかざして門を解錠させると、前と同じように桐生の姿が見えない事に違和感を持つ。前と違っているのはエントランスが解放されて扉が開いているということ。
「また…前みたいに悪ふざけしているってことか?」
「……わかりません。
でも…姿も見えませんし…
何か企んでいると思います。」
「…俺が先に入る。
聖知は少しここで待ってろ。」
扉が開いているエントランス付近まで一緒に歩いていくと笠松は前に訪れた時の事を思い出す。
前は初見でビビっちまったが…
今度はぜってえ大丈夫だ。
何か企んでるなら…受けてたつ。
聖知を危険な目に合わせられねえ…
笠松は一旦、ホールの様子を見るために聖知の制止を聞かず、少し離れた場所に待機させ屋敷の中へと入ると突如エントランスの扉が勝手に閉まり鍵が自動で掛けられる。