第55章 証し
「……涼太?
どうしたの…」
ガチャッ
「…………」
「……涼太…?」
桐生だと思っていたら涼太が資料室にやってきて、私の言葉が終らないうちに鍵を閉める音が室内に響く。
「聖知っち……
ごめん…ここに先生は来ないっすよ…」
「どういうこと…?」
「俺……」
「…?」
涼太は深呼吸すると、嘘をついて私を資料室に呼び出したことを話始める。
言いかけたまま何も答えない涼太に首を傾げると、私を見つめると側まで近づく。
「実は、宿題忘れてばっかりいたら…
ここの掃除当番に当てられちゃって…
聖知っちに…手伝ってほしいなぁって…」
「…まさか…
それで嘘ついて呼び出したの?」
「だって用事あるって…言ってたじゃないっスか…」
涼太は唇を噛み締め、真剣な顔をしたと思ったらフニャッと笑いながら表情を崩し、嘘をついた理由を話し出す。
まあ…
少しおかしいとは思っていた。
用があるなら、桐生は私に直接連絡するはずだと…
「手伝ってあげたいんだけど……
今日、どうしても…
大切な用事があって…
明日も掃除はあるの?」
「……いや…今日だけっスよ。」
そう言うと、涼太は悲しげな表情を浮かべて笑っているように見えた。
掃除が割り振られたことがそんなに嫌だったのか…
普段、反省文を書かされたり、怒られてる姿を見たことはあるけど…
ここまで落ち込んでる涼太を見るのは初めてで少し心配になる。