第55章 証し
所詮、男と女の仲なんて…些細なことで亀裂が入る。
聖知っちを俺のものにすれば…
『だったらぶち壊せばいいじゃねーか』
花宮に言われた言葉を思い出す
俺に気持ちが向かないなら…いっそ…
「っ……」
黄瀬の中で黒い感情が渦巻き、後ろから聖知を見ながら躊躇する気持ちと自分のモノにしたい欲望が交差するように巡り拳を握りしめる。
俺のやろうとしていることは絶対間違ってるっスね…
…あの花宮と同じことだって…
でも……それでも……
俺に気持ちが少しでも向くなら…
実行する
–––––放課後
「あ…聖知っち…
さっき桐生先生にそこで会って…
2Fの資料室に来て欲しいって言ってたっスよ?」
「…資料室って…
…わかった。
ありがとう、涼太…勉強がんばってね。」
黄瀬は聖知が教室を出る前に嘘を伝える。
そんな黄瀬の思惑も疑うことなく、笑顔で聖知はお礼を伝えると教室を出て資料室へと向かう。
「…この後話をするのに…
わざわざ校内で呼び出さなくても…」
聖知は資料室に着くと念のためノックをして入る。
まだ桐生は来ていなくて、そのまま待つことにし、笠松に桐生から資料室に呼び出された事を連絡すると後ろから扉を開ける音がしたので振り向く。