第55章 証し
–––次の日
「はい、涼太。
これ監督から追加でもらってきたテスト。」
「マジっすか……
どうしてもやらないとダメっすか?」
「だって1週間前だから…
どれぐらいできるか見とかないとダメでしょ?」
次の日、教室で聖知は監督から預かったテストを黄瀬に手渡す。
聖知は自身が作った問題集も一緒に手渡し「答え合わせは3日後ね。」と言うと黄瀬はガックリしたような表情を浮かべる。
「じゃあ…聖知っち…
昼休みと…放課後に勉強…」
「ごめん…今日予定が入ってるから…
それに、そろそろ自主勉強してくれないと…
テストは1人で受けるんだから。」
「……予定って…
笠松先輩と…っすか…?」
「…そうだよ。」
黄瀬は未だに聖知の事を諦めきれず、何かと理由をつけて笠松と離れさせようとしていた。
笠松の名を口にすると、聖知は黄瀬から目を逸らしてゆっくり頷き予鈴が鳴ると自分の席へと戻る。
聖知っちと笠松先輩が仲直りして以来…
前にも増して、入り込む隙がなくなった気がした。
でも…諦めるつもりもなくて…
どうしたら…笠松先輩より俺を見てくれるのか…
授業中、聖知っちの背中を見ながら考えていると、ふと黒い感情が頭を過ぎる。
奪ってしまえばいい