第55章 証し
「澄香…そうだな…
俺たちに今しかできないことを…
やるのが大切だよな。」
「わかってくれた?」
「あぁ…頭は冷えた。
悪いな……いつも迷惑かけちまって…」
「もう、慣れたわ。
さて…聖知に電話しないと…」
瑛一はバツの悪そうな表情で軽く謝ると、澄香はにっこり微笑み再びへ聖知に電話をかける。
「っ…おい…そこは…もっとだな…
「そんなことないわよ」とか…
「別にいいのよ」とかねえのかよ…」
「だって…本当のことだもの…
すぐ聖知のことになると、暴走するから…」
「……そ…そんなことねえよ…」
「そんなことあるの!
あ…聖知…?
ごめんね…さっきは急に切っちゃって…」
澄香の態度に『もしかして嘘泣きか?』と疑いたくなるくらいサッパリした様子に瑛一は不機嫌そうに澄香を見る。
暴走って……そんなことしてねえだろ…
たぶん……
そう思っていたら、聖知と再び電話が繋がりスピーカボタンをタップして瑛一にも聞こえるように操作した。
「お母さん……
お父さんは大丈夫…?」
「大丈夫よ。やっと落ち着いたから…
スマホをスピーカにしてるから…
今、一緒に聞いているわ。」
「お父さん……
あまりお母さんに心配かけたらダメだよ…
でも……ありがとう…
お父さんの気持ちはすごく嬉しかったよ。」
「聖知……」
娘の聖知からお礼を言われるとジーンと瑛一は感動して泣きそうになるがなんとか堪える。