第55章 証し
「じゃあ、聖知…
また、明日な。」
「はい…気をつけて帰って下さいね…」
あの後、幸男さんは私のマンションまで送ってくれると名残惜しむように別れ…幸男さんの背中を見送っていた。
「……幸男さん?」
幸男さんが歩みを止めて私の方に踵を返して戻ってくる。
「…聖知……連絡…
今夜ずっと待ってる…何時になってもいいから…
連絡しろよ…」
「っ…!
…繋がるかわかりませんけど…
必ず連絡しますね」
「そ…そうだよなっ…//
…じゃあ…またな…」
再び幸男さんは離れて夜道を歩いていく。
背中が見えなくなるまで見送り、私はマンションに入り自分の部屋へと戻る。
婚約の話…
お母さんに確かめないといけない
でも……
解消できなかったら…
私は部屋に戻り私服に着替えて改めてスマホに登録されているお母さんの電話番号を見つめる。
今は夜の21時
ニューヨークは朝の8時
私は部屋に掛けている時計を見ながら、久しぶりにお母さんの携帯番号に電話をかけた。