第55章 証し
「…この1週間、姿を見なかったけど…
どこにいたの?」
「おや…寂しかったのですか?
そうですね……
人使いの荒い旦那様のご命令の後処理を…
思ったより時間がかかってしまいました。
今日から嫌でも…
毎日顔を合わすので安心してください?」
「……そう…」
「…お嬢様。
貴女は、何か私に言いたいことがあるのでは?」
「…………」
お父さんの命令…?
よくわからないけど…
自主的にいなくなったわけじゃないってこと…?
そう考えていると、桐生は私の心を見透かすように核心を突く。
普通に聞いてちゃんと答えてくれるのか…
モヤモヤ考えても仕方ない。
はぐらかすようなら追求するだけ。
「なんでそう思うの?」
「先ほどの授業中、私の体に穴が開くくらい…
お嬢様の視線をヒシヒシと感じました。
何か言いたいことがあるなら…
さっさと吐いてください。」
「…聞いたら答えてくれるの?」
「内容によります。」
「じゃあ……」
やはり気づかれていた。
屋上に涼しい風が吹き、聖知の長い黒髪がなびく中…桐生の目を見つめて真剣な表情で言葉を続ける。
「桐生は…なんで…
笠松先輩と付き合っていることをお祖母様に黙ってるの?」