第55章 証し
「聖知っち…!
やっと戻ってきた…」
「…涼太…
テストは終わったの?」
聖知は笠松と別れて教室に戻ると黄瀬が駆け寄ってくる。
聖知が教室にいると思っていたのに昼休みが終了する時間に帰ってきたことに対して不満げな表情を浮かべていた。
「監督からの抜き打ちテスト…
早めに切り上げて早く帰ってきたのに…
どこ行ってたんスか…」
「笠松先輩と緒だったの。
それで…監督のテスト結果どうだった?」
「………これ…
答案…」
監督とのテストは終わった様で黄瀬の手には答案が握られていた。
聖知が笠松の名前を出すと黄瀬はムッとした嫉妬するような表情に変わり聖知に答案を渡す。
「……っ!
すごい…まだ3教科だけど…
これなら学力テスト心配いらないんじゃない?」
中間テストに比べて点数が格段に良くなっており、聖知は答案を見て驚く。
休み時間、自習時間、昼休みに黄瀬が真面目に勉強して取り組んできた結果が成果となって現れていた。
数学I 85点
世史A 88点
英I 79点
「この点数なら、もう私が教えなくても大丈夫だね。」
「っ…ダメっすよっ!
まだ、国語と理科が…」
「じゃあ…明日、2教科もテストしよう?
そのテストで涼太がどこまで理解できているかわかるし…」
黄瀬は聖知の言った事を否定するように言葉を重ねると聖知の口からテストというワードが出てくると不機嫌さが増す。
勉強の時間がなくなれば、聖知は昼休み笠松と過ごすに違いない。
2人きりにさせたくない、そんな気持ちから…急に聖知の手首を掴み背中を片手で支え自分の方へと引き寄せる。