第54章 協力者
小林先輩に襲われた事件で…保健室に桐生がきた時…
正直桐生に馬鹿にされると思っていた。
でも………
『お嬢様…大変申し訳ありませんでした。
この件は完全に私の失態です…
お詫びの言葉もございません。』
桐生が私に謝るのは初めての事で信じられず驚いた。
でも…私もその時は気持ちに余裕がなくて…
深く考えたりすることができなかった…
『怪我の具合は…どうなんですか……』
あの時の桐生は優しくて…あの時だけは…私の怪我を気遣い気持ちを汲み取ってくれた。
これは…誰にも話してないけど…
私が断っているにも関わらず反対を押し切って病院まで付き添ってくれたのは桐生だ。
その後、学校に戻ったみたいだけど…
その日を境に姿を見ていない。
私が怪我したから優しかっただけ……?
…他にも不可解な点はある。
桐生はなぜ幸男さんと付き合っていることをお祖母様に黙っているのか…
屋敷で聞いた時ははぐらかされたけど…
一体…何を考えているのかわからない……
だから確かめる…
桐生に会って…納得いくまで話して確認したい。
「幸男さん……
……まだ、確証はないんですが…
桐生と…話をします…」
私の言葉に幸男さんは、一瞬驚き考え込んでいたが…「俺も一緒に話す」と言い私の手にそっと自身の手を重ねた。
幸男さんの言葉はいつも頼もしくて、寄り添ってくれて…安心する。
例え桐生が私の味方じゃなかったとしても大丈夫。
幸男さんと一緒なら……乗り越えられる。
私は幸男さんの繋いだ手を握り返して、心の安らぎに浸るように安心しゆっくり頷く。
昼休みが終わる予鈴が鳴るまで幸男さんの肩にもたれかかって2人っきりで過ごした。