第54章 協力者
「聖知…俺なりに…
考えた…これからの事…
まだ全部は結論出てねえけど…
これから先、きっと…色んな障害にぶち当たる。
俺は聖知の事…何があっても守るつもりだ。
だが…感情面だけじゃなくて…
何か備えが必要だと思った。」
「備えって…どういう…?」
「例えば……突発的だが…
味方になってくれる協力者とか…
俺や澄香さんや瑛一さんだけじゃなくて…
聖知の事をよく知っていて…
力になってくれる人は他にいるか?」
「私のことをよく知っていて…
力になってくれる人……」
笠松は聖知の肩を抱きながら話をゆっくり進める。
全力で聖知の事を守ると心では誓ってはいるが…自分1人では守りきれない部分もあると笠松は確信していた。
聖知の過去の話を聞くにあたり……身近にそういう人物がいないか考えても笠松は思いつかない。
聖知もしばらく考えこみ…ゆっくり顔を上げる。
「1人だけ……
いるかも……しれません。」
「っ…!
本当か?」
「…絶対に…って自信はないですけど…」
味方がいる事がわかったはずなのに、聖知の表情は曇る。
聖知の中では、まだ疑惑の思いを抱えていて…
未だに自分とは信頼関係が全くない人物…
桐生 怜
聖知の事を小さい頃からよく知っている
紅羽から絶対の信頼を置かれている人物…
聖知はつい最近までは…桐生は紅羽側だと思っていた…
疑念を抱いたのは…あの保健室のことがきっかけだった。