第54章 協力者
「聖知ちゃん!」
「笠松先輩と…森山先輩…」
「っ……俺から声かけたのに…
笠松のついで扱いみたいだな……」
「い…いえ…そう言うわけでっ…」
「……そんなことより…
やっぱ聖知ちゃん…
海常に残ってくれるんだなっ!
いや、本当に良かったっ!」
聖知は後ろから声を掛けられると、自然と笠松に目がいき…森山はその様子を見て残念そうにわざとらしく落ち込んでる様子を見せる。
それも束の間、聖知の両手をぎゅっと握りしめて自ら盗み聞きしていたのをアピールするかのよう伝える。
「……監督との会話聞いてたんですか?」
「…あ……いや……その…
たまたま…いったあっ…!」
「この馬鹿っ!
ベラベラ喋ってんじゃねえ!」
聖知の問いかけに森山は返す言葉がなくて、言葉を濁していると後ろから笠松に殴られる。
「なんだっ…笠松…また嫉妬か…?」
「うるせえっ!
いつまで握ってんだよっ…さっさと離せっ!」
「束縛する男は嫌われるぞ。
そういうところから…
男女の間には溝という亀裂が入るんだ。」
「縁起でもねえこと言うんじゃねえ!
お前が余計なこと言うからだろっ!」
笠松は森山をシバいても聖知の手を離さないのを見てイラつき、無理矢理手を離させる。