第54章 協力者
–––昼休み–––
洛山との練習試合の反省ミーティングのため体育館に全部員が集まる。今後の練習方針、改善点について話し合いが行われた。
話し合いが行われると、レギュラーメンバーのみ体育館に残され監督が全員に小冊子を配り始める。
「全員行き渡ったか?
今回の反省点、改善点を踏まえて…
IH前に短期合宿を行う。
日程はIHが始まる2週間前の3日間。
だが、それには学力テストで…
補修対象にならないのが必須条件だ。」
「……監督…何で俺を見るんスか…」
合宿の日程が組み込まれている冊子で、連休を利用しての調整・強化合宿が開かれる事になった。
監督は説明しながらチラッと黄瀬に視線を映すと黄瀬は苦笑いを浮かべる。
「水瀬…黄瀬の勉強具合はどうだ?」
「今のところ順調に進んでいます。
このままの状態がキープできれば…
テストは問題ないと思います。」
「そうか…
黄瀬、くれぐれも勉強を怠らないように。」
「…も…もちろんっすよ!」
聖知の言葉を聞くと、監督は安心したように目を伏せる。
その場は、解散となり体育館から順番に部員が1人づつ退出していく。
「水瀬、少しいいか?」
聖知は体育館から出ようとすると監督に呼び止められ、誰にも聞こえないように体育館の隅の方まで移動する。