第54章 協力者
「聖知のことはそっとしといてやれ。」
「っ…笠松先輩……は……知ってるって事っすか?」
「…さあな…知ってても喋るわけねえだろ。」
「……なら…なおさら気になるっすよ…
俺は……まだ諦めてないっすから。」
聖知は黄瀬に赤司について聞かれた時、表情を曇らせ逃げるように体育館から出て行った。
俺は、黄瀬にこれ以上聖知の気持ちを乱さないよう伝えるため呼び出しても、聖知をほっとくつもりがない様子に黄瀬を睨みつける。
「黄瀬、聖知の気持ちを考えて行動しろ。
お前が赤司の話しをした時…
聖知の様子を見ればわかるだろっ……」
「っ………そりゃ……そうっすけど…」
「話したくないことを…
好きな女から無理に聞きだすのが…
お前のやり方か?」
「っ……それはっ…」
「……これだけは言っておく。
聖知を傷つけんなら…
例え赤司だろうが…お前だろうが許さねえ…
その事だけは頭に入れとけ。」
俺は黄瀬に警告すると体育館へと戻る。
黄瀬は笠松の言葉に何も言い返せず拳をギュッと悔しそうに握りしめて脱力し笠松の後にゆっくりと体育館へと戻っていった。