第54章 協力者
「…………」
幸男さんに抱きついたまま目を閉じ…眠ろうとしても嫌な夢を思い出しなかなか寝付けなかった。
「…っ…!」
「……眠れないか?」
目を閉じてから何分たったかわからないまま、瞳をゆっくり開くと幸男さんも起きていてギュッと抱きしめられる。
「…起きてたんですか…?」
「当たり前だろ…
聖知が眠れるまで俺も寝ないからな…」
「……ごめんなさい…明日も早いのに…」
「そんな事気にすんな。
じゃあ…眠れるまで何か話しようぜ。」
幸男さんはベッドで肘をつきながら片手で抱きしめてくれ…幸男さんが高1の時の話や中学の時の話をしてくれた。
中学の時から熱血漢だったんだと改めて知り、バスケの色んな話しを聞いてるうちに緊張が和らぎ眠気が出てくる。
ウトウトし始め、でも、途中で寝るのはダメと思いながら寄り添ったまま眠気が勝ち…深い眠りに入った。
「眠れたみたいだな…
ゆっくり寝ろ…」
「………」
笠松は聖知の寝息が聞こえると、離さないように抱きしめたまま自身も目を閉じて眠りにつく。
笠松に抱きしめられている聖知の表情は先程みたいに夢でうなされている苦しげな表情ではなく…
幸せそうに笑みを浮かべながら寝息を立て眠っていた。