第54章 協力者
「っ……ちょっと……
悪い夢を見てたみたいで……
身体は大丈夫です…」
「あんなにボロボロ泣いて…
ちょっとじゃねえだろ……
何の…夢見たんだ…?」
「……………」
「言えって…聖知…」
聖知はゆっくり息を整えると何事もなかったかのように話をしても笠松は納得しなかった。
聖知の顔色は悪くなり…話すのを躊躇している様子を見ると寝ながら泣いてしまうくらいの悪夢だったと察して…優しく抱き寄せたままシーツ越しに抱きしめる。
「……暗い場所に誰もいなくて…
いきなり暗闇で……誰かに手を掴まれたんです…
私の…祖母や…赤司君が出てきて…
……すごく怒っていて…祖母と赤司君に……
拘束されて…部屋に閉じ込められて……
それから…」
「…もういい…もう十分だ…。
それ以上思い出すな…」
笠松は聖知が震えた声で夢の内容について聞くと途中で遮る。
再び泣きそうな声で話す聖知にこれ以上つらい事を思い出させたくないそんな気持ちから話を遮りギュッとしっかりと抱きしめる。
少しでも落ち着くように聖知の頭を撫でて背中をさすりながら笠松は確信した。
聖知の心身はとっくに限界がきていると…