第54章 協力者
笠松は風呂を済ますとお弁当と温かいお茶を自分の分と聖知の分を淹れて自分の部屋へと戻る。
「よく寝てんな…」
聖知の頬に触れると今だに寝息を立てて眠っており…見つめていると寝ているのに聖知の表情が急に苦しそうにもがき…涙が頬を伝っていた。
「…聖知…?」
「っ…いやっ……もう…いや…」
「っ…聖知っ…おい!
どうしたっ…!
具合悪いのか…っ…」
うなされて夏でもないのに聖知の額にジワリと汗が滲んでいる様子に笠松は心配して身体を揺すり起こそうとするがなかなか目覚めない。
「聖知っ…おいっ…!
どっか…痛いのか…?」
「っ…怖い…っ……っ…!」
笠松はうなされながらポロポロ泣く聖知にただならない状況を察する。
寝ていた聖知の肩を抱き寄せ額に触れても熱はなく目覚めない恋人に胸が締め付けられ救急車を呼ぶ手前でゆっくり聖知はゆっくり目を覚ました。
「聖知っ……大丈夫か…?
どっか具合悪いのか…?」
「っ……
こ……ここは…っ……
どこ…ですか…?」
「っ……何言って…
俺の家だろ…?」
聖知は尋常じゃないくらい冷汗をかいて胸の動悸が未だにバクバクと脈打ち、現実と夢の区別の判断ができないくらい混乱していた。
唯一、目の前に笠松がいて…夢に出てきた祖母と赤司がいない事に安堵してゆっくり呼吸を落ち着けていく。