第53章 警告※
「……そうか……
辛かったな……」
滝壺の近くにあるベンチで笠松と聖知は座りながら今日の出来事をお互いに少しづつ話をした。
聖知は幼少期の時に…
隔離されたいただけでなく…
虐待を受けていたこと…
その時の光景がフラッシュバックして…
赤司君と祖母が重なって見えてしまった…
笠松は聖知の話を聞きながら、苦しみに今まで気づいてやれなかった事を悔やみ聖知の頭をポンポンと優しく撫でる。
「私……一生…このままなのかなって…
最初は絶対克服できる…そう思っていました…
何を言われても…絶対…もう…
意思は曲げないって……
でも……やっぱり……私には…無理かなって…」
「聖知………」
「でも……
幸男さんがここに連れてきてくれて…
今日だけじゃないです…
色んな所に連れて行ってくれて…
すごく楽しくて…もっと一緒に色んなとこ…
行きたいです……
怖くても…自由に…生きたいです…
もう…今更感情を殺すことなんて…できません…」
「聖知……そう思うのは当然の感情だ。
行動を縛ったり…暴力を振るう奴が可笑しいんだ。
聖知は悪くねえ。
今まで感情を殺してきたのは…
…自分を守るためだろ。
これからは違う…俺が側で守る…
だから…もう何も我慢すんな…」
虐待されたたゆえに…行動を制限されてきたからなのか…
聖知の願ってる事はどれも…普通の生活をしてきたなら…
誰もが経験できるような内容だ…
今まで…どんな生活をしてきたのか……
行きたいとこにも行けず…やりたいこともできず…
勉強を強要されて…家に閉じ込められて…
その上虐待を受けてきた…
俺は聖知の本当の心の叫びを聞いた気がして、聖知に負担をかけないように優しく寄り添い…これ以上聖知が辛い思いをしないように策を講じる必要があるそう確信した。