第53章 警告※
「聖知……痛むか?」
「……ありがとう…ございます…
笠松先輩が来てくれなかったら…
どうなっていたか……」
保健室に着くと祝日のため教員は休みでいなかった。
笠松先輩は氷を袋に入れ私の頬に腫れを冷やすように当てる。
ジンジン痛かった頬が氷のおかげで痛みがマシになる感覚を感じる。
「笠松先輩…行って下さい。
先輩が戻らなかったら…
…みんなきっと心配してます…
私は…大丈夫なので……」
「……嘘ついてんじゃねえ…
大丈夫じゃないだろ……
怖いなら…言えよ……
1人で抱えんな…
俺が支えるって約束しただろ…」
「っ……っ…」
笠松先輩の言葉に押さえ込んでいた涙が止めどなく溢れて私は笠松先輩に抱きついて声をあげて泣いた。
そんな私をギュッと抱きしめて背中を優しくをさすってくれる。
怖かった……
ただただ…怖くて……
涙が枯れるまで笠松先輩の胸板で泣き続けた。
「……聖知…監督やあいつらには…
俺からうまく言っておくから少し休んでろ…」
「で…でも…」
「後でこれからの事…一緒に考えようぜ。
今はゆっくり休んでてくれ。」
「はい…わかりました…」
私が泣き止むと笠松先輩は一旦体育館へ戻るため立ち上がる。
洛山が試合を終えて帰るのに主将がいなかったら相手にメンツが立たない。
こんな泣き腫らした目では赤司君の前どころかみんなの前にも顔を出せない。保健室から笠松先輩を見送り1人になる。
「私には……やっぱり…無理なの……?」
鏡の前に立ち…過去を克服できていない自分を見ると情けなくなり…1人保健室で再び涙が流れた。