第53章 警告※
「…聖知
自分が何を言っているのか…わかっているのか?」
「わかってる。赤司君との婚約は解消します。
いずれその話が出てくると思う。」
赤司君は私の言葉に表情を崩すことなく淡々と言葉を続ける。
「君はそうやって…また…
自分の責務から逃げるのか?」
「……逃げる?」
「僕が何も知らないと思っているのか。
聖知…日本に帰国して…
君は如月家を飛び出した。
自由が欲しくて…如月家を嫌い…
僕からしたら…
お前のふるまいは愚の骨頂だ」
「っ…!」
赤司君の言葉の端々に冷たさを感じる。
静かな怒りを言葉でぶつけるように私の行動を全否定する。
「如月家という家系に生まれたなら…
その責務を果たすのが己の務めだろ。
それを放り出している。
さらに…僕との婚約を白紙に戻し…
自分の為すべきことを放棄しようとしている。」
「……………」
「全てを受け入れろ……
自分の責務から逃げるな。」
「…責務って何…
言われるままただ…従っていればいいってこと?
以前の私なら…今もそうしていたと思う。
でも、自分の意に反してそんな事間違ってる。
私は、自分のことは自分で決める
誰にも自分の人生を…もう…操作されたくない。」
私はもう人形じゃない。
嫌なことは嫌……
例えそれが…お祖母様が相手だったとしても…
発言するつもりだ…
赤司君に何を言われても…屈しない…
そう思っていた……
でも……赤司君の思いがけない行動に…
今まで…隔離されてきた5年間の生活がフラッシュバックした。
赤司君は私の言葉を聞くと目を細め…
そっと私に近づき…
思いっきり頬を引っ叩たかれた。