第53章 警告※
「赤司君…どういうこと…?」
「外で話そう……ここじゃいつ誰が聞いてるかわからないからね。」
赤司君の言葉に私の知らない所で何やら話が進んでいるのに不信感が募る。赤司君は更衣室を出ると扉を開けて外に出る。
私は後を追いかけるようについて行った。
–––体育館–––
「今……なんと言った…?」
「言った通りだ…彼女…
1年の水瀬聖知さんを…
洛山高校バスケ部に勧誘したいと考えている。」
監督は耳を疑った。
旧友の口から聖知を引き抜きたいと言われレギュラー全員ざわつく。
「監督…どういうことですか…」
「いや……俺にはさっぱり…」
「赤司がぜひ引き抜きたいとね。
彼がそう言うってことは…
それなりの理由があると私はそう思っている。
海常には悪いが…
彼女自身が承諾するなら受け入れてほしい。」
「いや…急にそう言われてもな…」
「っ…監督……ちょっと見てきます。」
洛山の監督の言葉に聖知の言葉を笠松は思い出す。
『赤司君がこの時期に練習試合に来るのは…
何か…行動を移そうとしてるんじゃないかと…』
聖知の言う通りだ…
最初からこれが目的だったのかっ…
拳を強く握りしめて聖知が心配になり更衣室の方へと向かうと洛山の監督に呼び止められる。
「笠松君、悪いが…話の邪魔は……」
「邪魔はしません。
聖知自身が決めることだと思っています。
聖知は洛山には行かない。
俺は、そう信じています。」
笠松は足を止めそう告げると早足で更衣室へと向かう。