第52章 婚約者
やばかった…
あのまま続けてたら……
ぜってぇ…襲ってた…
聖知の紅潮した表情…潤んだ瞳…
押し倒して…欲望や理性など擦り切れて…
めちゃくちゃにしたくなる……
そんな情欲を抑えて俺は自宅へと戻った。
「あら…ずいぶんと遅かったわね…
まさか……聖知ちゃんに…
変なことしてないでしょうね?」
「Σっ…しっ…しし…してねえよっ…!」
「…何その反応…怪しい……
あ…そうだ…幸男ちょっと来て…」
「…なんだよ…」
自宅に着くと母さんが弟たちを寝かしつけていてリビングに手招きされると動物園マークの袋を見せられる。
「聖知ちゃんって本当にいい子ね。
これ…幸也と幸大にプレゼントしてくれたみたいなの。
あの子たちから後から聞いてね…
お礼言いそびれちゃった…
幸男からお礼伝えといてね。」
「聖知が……」
動物園マークの紙袋に動物のワッペンが入っており、早速、幼稚園のカバンに母さんがアイロンで接着させて付けている。
「私聖知ちゃん気に入っちゃった♡
可愛いし、気がきくし、お嫁にきてくれないかしら…」
「っ…そんなの…ここに住むとは限らねえだろ…」
「………え…?」
「は……?
な…なんだよ……」
今日の出来事を母さんは思い出すようにホワホワと幸せそうな表情を浮かべ…俺の言葉に驚いた表情を浮かべる。
「この家に住むとは限らないって…
聖知ちゃんが…
幸男と結婚するのは確定ってこと?」
「Σっ!ち…ちがっ!//////」
「……何かあったのね…!…帰り道に…
まさか…もうプロポーズしちゃったの!?」
「Σし…してねえよっ…言い間違えただけだっ!
もう…寝るっ…!」
やべえっ……
素で言葉に出てたっ…
…嬉しかったって言われただけだろ…
くそっ……惚気すぎだ……
自分の部屋に入ると髪をくしゃくしゃに掻き…帰る前にキスしたことを思い出すと自然と顔が熱くなる。
この時の俺は惚気ていた…だから…甘く見ていた……赤司 征十郎という男が聖知に執着する異常さに気づいていなかった。