第52章 婚約者
「っ…ゆ…幸男さん…?///」
「……い…一度しか…言わねえから…
このまま聞いてくれ……」
ギュッと抱きしめたまま笠松は軽く深呼吸をすると言葉を続ける。
「俺は…聖知と2度と離れるつもりはねぇ…
他の女なんか…目に入るわけねえだろ…
聖知とは…この先何があっても側にいたい…
そう思ってる……つまり……」
「…………」
「俺は…聖知の事……
将来のこと…見据えて付き合ってる……
だから……っ……絶対…赤司には渡さねえ…」
「っ…//////」
静かな公園に2人っきり……
雑音も物音もなく静かに笠松の声が響いていた。
笠松の言いたいことがやっとわかり…聖知は顔がどうしようもなく熱くなる。
まだ交際2ヶ月…
交際期間は短いが中学の頃からの付き合いで、2ヶ月とは思えないほど聖知は笠松の事を信頼し愛していた。
いつも助けてくれて…力になってくれて…
自分の過去を聞いても受け入れてくれる
いつかは考えないといけなかった…「将来のこと」
不思議と嫌な気持ちはなく…より真剣に真面目な笠松先輩らしいと思いながら聖知は笠松の気持ちを肯定するようにギュッと服を握りしめた。