第52章 婚約者
「どうした…?」
「いえ…わざわざ遠方から…
練習試合に来るのも珍しいなって…」
「まぁ…確かにな…そういや…
赤司って…元チームメイトだよな…?」
「……そうですね…
でも…中学卒業してからは連絡は取ってないです。」
聖知の様子がおかしい…
さっきまで楽しかった雰囲気が嘘のように暗い
赤司といえば…聖知が黄瀬のファンからの嫌がらせを受けていた時に話してくれたことを覚えている。
聖知が嫌がらせを受けていると知りながら…何も対策をせず、卒業まで放置していたと…。
まぁ……楽しい思い出は少ないかも知れねえが…聖知の表情は単に落ち込んでいる様子ではなく未知の不安にどう対処したらいいかわからない様子だった。
「聖知……どうした…?」
「……………」
「なんか…不安なこととか…あんのか…?」
「………話しておきたいことが……
あります……」
「………少し寄り道するか…」
俺は聖知の表情からすぐに終わる話ではないと悟り、聖知の手を引いて近くの公園へと向かった。