第10章 スカウト
ーー同日20時ーー駅前
「さつきちゃん……ごめんね?」
「ううん、でも本当に大丈夫?」
「うん…こっちこそ折角誘ってくれたのにごめん。」
「じゃあお互いに高校受験決まったら約束ね?」
「うん!約束。」
あの後、しばらくして落ち着いてから笠松さんと涼太とさつきちゃんで駅まで歩いてきた。
花宮に襲われてすごく怖い思いをして
正直、早く家に帰りたい…
私はさつきちゃんとのお泊まり会を後日に延期してもらうことにした。
折角誘ってくれたのに…
悪いことしたな…
「大丈夫っすよ。聖知っちは俺が送って行くっすから。家近くだし。」
「じゃあ、きーちゃんお願いね?」
「任せる…ん?」
涼太は私の肩に手を回しながらさつきちゃんに話し出す。
いつもなら払いのけるけど今はなんだか落ち着く。
さつきちゃんと別れ際に涼太のスマホの着信が鳴り響いた。
「え…今からっすか?………いや…でも……わかりました。すぐ向かいます。」
「どうかした?」
「トラブル起きたみたいでスタジオに戻らないといけなくなった…す……とりあえず送ってから向かうっすよ。」
「ダメ。仕事はちゃんときちんとしないと。私は大丈夫だから。」
「でも…!」
「あ!なら私が…」
「俺が送っていく。中学生は早く帰れ。いくぞ。」
「え…でも…じゃあ涼太、さつきちゃん…またね!」
涼太は私を気遣ってそばにいてくれようとしている。
でも、私のせいで他のことがおろそかになるのは嫌。
さつきちゃんも私を気遣って言いかけた時、笠松さんが送ると言って返答を聞かないまま駅の方に歩いていく。
「はあ⁉︎ なんで…そんなこと「聖知ちゃーん!またねー!」
涼太が言い返そうとした時さつきちゃんが遮るように話して涼太を引きずるように歩いて行った。