第52章 婚約者
「お姉ちゃんっ…帰っちゃいや…っ…」
「まだ…お姉ちゃんと遊びたいっ…」
「っ…ご…ごめんね…?
今日はもう遅いから帰らないといけないんだ…
また、来るから…」
「「いやっ…!」」
食事を終えてから後片付けを手伝い、紅茶を入れてみんなで雑談をすると夜遅くなり、笠松は聖知を送るため玄関へと向かう。
最初は我慢していたがどうしても帰ってほしくなくて…幸也君、幸大君は聖知に抱きつく。聖知がなだめても抱きついたまま離れず…その様子を見て笠松はため息をつく。
「おい…お前たちも寝る時間だろ…
聖知に無理言って困らせてんじゃねえ…
また……いつでも…会えるだろ…」
「お姉ちゃん…またきてくれる?」
「遊んでくれる…?」
「うん、また来るから…約束…
その時は一緒に遊んでね?」
笠松は弟2人に嗜めるように言い、弟2人も笠松の言葉に渋々従い聖知から離れて、3人で指切りをする。
「あの…るみさん、今日はご馳走様でした」
「楽しい時間ってあっという間よね……
私も寂しい……
幸男…聖知ちゃんに変な事しちゃダメよ!」
「Σっ…しねえよっ…///
聖知…行くぞ…」
「あ…はい…では、おやすみなさい…」
笠松の母親は玄関まで送ってくれると残念そうにショボンと肩を落とし…閃いたように「今度は泊まりね♡」と聖知の手を両手でギュッと握る。
聖知は軽く会釈をすると笠松家を出て手を繋いで聖知のマンションまで向かう。