第51章 笠松家の夕食
「私が…中学3年生の時に…
その…電車で…痴漢から助けてくれたんです。
それから…色々悩み事とか…
親身に相談に乗ってくれて…」
「あら…まぁ……
聖知ちゃん…
それで恋に落ちたってこと…?」
「いえ…その時は尊敬する先輩として…
接していました。」
「じゃあ、他に恋に落ちた…
エピソードがあるってわけね!
うぅ……聞きたいわっ!」
簡潔に伝えると笠松の母親はボールにハンバーグのたねを捏ねながら聞くと、うっとりとしたような表情を浮かべる。
「あの…えっと…か…笠松さんは…」
「やだ…聖知ちゃん!
そんな他人行儀な呼び方…
私のことは『るみさん』って呼んでで欲しいわ。
何なら…お母さんでもいいわよ…?」
「い…いえ…流石にそれは…///
じ…じゃあ…ルミさんで…
や…野菜切れました。」
流石にお母さんと呼ぶのは気が引け、『るみさん』と呼ぶと笠松の母親は満足そうにニッコリと微笑んでいる。
「じゃあ、あとは焼くだけね!
聖知ちゃん、お皿の準備とかしてくれる?
そろそろ幸男も…ウズウズしてると思うから…
ついでにエプロン姿見せていらっしゃい。」
「っ…は…はい…///」
笠松の母親からそう言われると食器類をテーブルに運ぶためにカーテンを開いた。