第50章 動物園
「聖知…悪い…びっくりしただろ…
迷惑かけて悪かったな…」
「いえ…そんな……
幸男さんにあんなに可愛い弟さんがいるって…
知らなかったです。お母様も気さくで明るい方で…
とても素敵な方ですね。」
あれから…夕食を改めて一緒に食べることを約束した。
でも…私が席を立とうとすると幸也君と幸大君も「一緒にいく」としがみついたまま離さず…笠松先輩やお母様も注意したが半泣き状態で離そうとしなかった。
–––回想–––
「ぃゃ…一緒がいいっ…」
「……うぅっ……」
「いい加減にしろ…我儘言ってんじゃねえっ…!」
「……うーん…
よっぽど聖知ちゃんが好きなのね…」
いくら言っても幸也君と幸大君は私の服にしがみついたまま離れず…今にも泣きそうでお手上げ状態だった。
「……幸也君…幸大君…
お姉さん、ちょっと用事があって…
行って来てもいいかな?」
優しい口調で話をすると2人はパッと顔を上げより一層離すまいとしがみつく。
「「一緒に行く!」」
「…うーん…でも…
今日夜一緒にご飯食べるでしょ?
お姉さん、すごく楽しみにしてるから…
幸也君と幸大君も楽しめるように…
準備してほしいな…」
「……たしか…明日幼稚園で…
エプロンとか…三角巾の準備が必要だったわね…
あーでも幸也も幸大も準備まだしてないから…
お姉ちゃんとご飯食べれないわねぇ…」
笠松先輩のお母様がわざとらしく言うと、幸也君も幸大君も「ダメっ!帰って準備する!」とすんなり離してくれた。
–––回想終了–––