第50章 動物園
「まぁ……
そんな頃から自立してるなんて……
感心するけど…寂しくないの…?」
「…最近は少し寂しいですけど…
…大丈夫です。」
寂しいって聞かれると…
やっぱり…あのマンションに1人で帰ると寂しい…
でも…私は……
1人じゃないってわかってるから…
ただ…気がかりなことがある…
こんなに可愛い弟がいて、素敵なお母様がいるのに…私が寂しいって言ったことで幸也君、幸大君は寂しい思いをさせていないのだろうか…
笠松先輩と一緒にいることで、2人に寂しい思いをさせているとしたら心が痛む。
そんな心境の中、笠松先輩のお母様は急に席から立ち上がった。
「……そうだわ!
今日のお礼も兼ねて一緒に夕食食べましょ?」
「えっ…!…いえ…そんな…お礼なんて……
お気持ちだけで大丈夫ですっ…」
「…聖知ちゃんは…
私と一緒にご飯食べるのは…嫌…?
「い…いえ……そうではなくて……」
突然の提案にやんわり断ると、笠松先輩のお母様は悲しんだ表情をされると申し訳ない気持ちになる。
「っ…もういいだろ…
聖知だって、用事があるんだ…
無理強いすんじゃねえよ…
もうそろそろ。行くぞ
…聖知…」
「……あ…はい……」
笠松先輩は話を遮るようにお母様の話を止めると、店から出ようと席を立つ。