第50章 動物園
「つ…つーか…なんで俺この席なんだよっ…!」
「仕方ないでしょ?幸也も幸大も…
聖知ちゃんの横がいいって言うんだから…
自分が隣に座りたいからって…
お兄ちゃんなんだから我慢しなさい。」
「っ…そ…そんなんじゃねえっ!」
園内にあるファミリーレストランへ入店すると…幸也君と幸大君は私から離れようとしなかった。
笠松先輩が無理矢理離そうとすると泣き出すのを見て、私の両隣が幸大君と幸也君。向かい側が笠松先輩と笠松先輩のお母様という席図になっている。
「そんなことより……
聖知ちゃん…そんなに緊張しなくて大丈夫よ。
私は、付き合いを反対するつもりはないし…
むしろ…大歓迎だから♡」
「っ…あんま…変なこと言うなよっ…」
「もうっ…幸男は黙ってて。
まず…本当にありがとね…
聖知ちゃんが来てくれなかったら…
この子たち見つけるのもっと時間がかかってたわ…」
肘で笠松先輩をどつくと、私に笑顔で笑いかける。
「いえ…そんな…当然のことしただけですので…
頭を上げてくださいっ…無事会えてよかったです。」
「好奇心旺盛でね…今日だけじゃなくて…
よく迷子になるのよ…」
「もうしないもん!」
「お姉ちゃんいるからしない!」
笠松先輩のお母様はハァ…とため息をつくと、幸大君と幸也君はムスッとしたように私の腕にギュッと抱きついて離そうとしない。