第50章 動物園
「水瀬…聖知ちゃん…
名前まで…可愛いらしいなんて…やっぱり…
名は体を表すって…こういうことよね?
聖知ちゃんは…
幸男のどんなとこが好きなの?」
「い…いえ……そんなことは……その…っ……」
「っ…止めろよっ…緊張してるだろ…
だから言いたくなかったんだっ……」
「もうっ…この子ったら……
こんな可愛い恋人がいるなら…
早く紹介しなさいよ!」
園内にあるファミリーレストランに入店すると、俺は聖知を彼女として母さんに渋々紹介した。
学校の後輩と言っても…ぜってぇ嘘だと見破られると思い…同じバスケ部の所属で後輩であることを簡単に説明した。
ていうか……いきなり…
彼氏の親と話すことになったら誰だって緊張するだろ…
聖知はいつもよりぎこちなく…返事をしてもカタコトで…何を話したらいいかわからない様子で緊張していた。
無理もねえ……
ていうか…もう……
……完全にロックオンしてるな……
自分の母親を見るとすでに、気に入ったのか…聖知を見る目が『お嫁さん候補』としてキラキラとした眼差しで視線を送っている。