第49章 初めての手料理※
「……そういや…初めてだな…
聖知の手料理…//」
マンションから離れると聖知が俺の好物を聞いた時の顔が忘れられねえ…
一生懸命で…その可愛さに抱きしめたかったが……我慢した。
「…ただいま。」
「「兄ちゃん!」」
玄関で声をかけるとリビングからダダダっと走ってくる音がする。
自分とよく似た瓜二つの男児が2人パジャマ姿で笠松に抱きついたりして足に絡む。
「…おう…そろそろ寝る時間だろ?
ちゃんと歯磨きしたのか?」
この時間に寝てないのはめずらしい
いつもなら夢の中のはず……
俺は2人を連れてリビングへと入ると、笑顔で母さんが出迎えてくれた。
「お帰り…お兄ちゃんが帰ってくるまで起きてるって言って寝ようとしないのよ。幸也も幸大もお兄ちゃん大好きだもんね?」
「「大好きー!」」
未だに離れようとしない弟2人を愛らしく思いながら上手く歩けずヨタヨタたとリビングのソファに座る。
「幸男、今日遅くなるって言ってたけど…ご飯食べてきちゃった?」
「あ…今から………友達の家に泊まりに行ってくる。
明日の夜までには帰る。」
普段部活で遅い日は外食で済ましたりすることが多かった。
そのため、部活のある日で特段遅くなる日は俺の食事は作らない様頼んでいる。
咄嗟に友達の家に行くと伝えると急に母さんは俺の隣に座ると俺をじっと見つめている。
「…なんだよ……」
「…友達って……女の子…?」
「Σはっ…ち…ちげーよっ…!
バスケ部の仲間で集まり合うって話になっただけだっ…」
「……なんだ……つまんない…
てっきり彼女でもできたのかと…
バスケも大切だけど早く彼女作って紹介しなさいよ…」
俺は心臓が跳ね上がるぐらい驚いて咄嗟に嘘をつく。
母さんはそれを信じてまたいつもの小言が始まった。
「幸男…私の夢はね…いつか貴方たちが結婚して…
そのお嫁さんと実の母娘みたいに…
楽しく暮らすのが夢なのよ…
だから…バスケもいいけど…
早く彼女作って紹介しなさい。
「…………」
結婚と聞くと聖知が頭に思い浮かぶ。
俺の脳内で聖知がエプロン姿で出迎えてくれる妄想を思い浮かべてしまう。