第48章 学力テスト
「っ…!
痛いじゃないっすか……」
「………触ろうとするからだ。」
お互いに睨み合い2人を仲裁する様に授業5分前の予鈴が鳴り響く。
「………」
聖知は教室に戻りながら2人の様子に自分が原因でチームとして雰囲気が悪くならないか心配していた。
「笠松先輩…すいません…昼休みに…」
「いや…好きでやったことだ。
また、部活の時にな…」
笠松と別れて黄瀬と2人教室に入ると席へ着く。
5限目はフリー時間のため自主学習やお喋りする生徒もいた。
「聖知っち……」
「っ……涼太…手…離して…」
「…………」
黄瀬と聖知は隣同士のため…先程邪魔された分聖知の右手に自分の左手手を重ねて優しく触れる。しかし、聖知は直ぐに手を引っ込めると黄瀬は悲しげな表情で見つめる。
「聖知っち…俺…諦めない…
笠松先輩と付き合ってても…関係ないっすよ…」
「…………それより…
この時間使って数学教えるから…
教科書開いて…」
「…………」
黄瀬は聖知を熱い視線を注ぐように伝えるが聖知は相手にせず数学の教科書を開くよう伝える。
黄瀬は渋々教科書を開いて聖知の説明を聞きながらチラッと聖知の真剣な表情を盗み見る。
今だけは聖知を独占できてることに嬉しくなり笑みながら勉強に集中した。