第9章 過去※
ーーー赤司視点ーーー
ハーフタイムが終わり、第3Qに入ってから医務室で休んでいた黒子が帰ってきた。
黒子の話では聖知は黒子のいる医務室には来ていないといった。
聖知は真面目でいつもチームをサポートしてくれている。
父親が現役のNBAの監督だからか聖知自身も一人一人に合ったメニュー作りや各選手のコンディションの見極めがよく知識も豊富でなりより献身的にチームを支えてくれている。
そんな彼女が俺の指示をほったらかして何処に行くって言うんだ…?
もう1つの理由は花宮真だ。
午前中は出ずっぱりだったが後半からは試合に出ていなくベンチにすらいない………
なんだ………
この胸騒ぎは………
「おい、聖知なんかあったのか?あいつどこ行ったんだよ。」
「赤司…聖知を探してくる。」
「待て。まだ試合中だ。緑間と青峰は試合だ。黒子と黄瀬は聖知を探してきてくれ。」
どうやら、胸騒ぎがしているのは俺だけじゃないらしい…
緑間や青峰も心配するなんて珍しいな…
黒子と黄瀬も同様に体育館を走って出て行った。
「しかし、あれほどラフプレー重視のプレイがパタリと無くなったな。花宮がベンチにいないからか?」
「わからない。とにかく今…俺たちにできるのは…試合に勝つ…それだけだ。」
俺の言葉と同時にタイムアウトの時間が終わり試合が再開された。
……本当は他の者に任せずに聖知を探しに行きたかった。
だが主将である以上許されない。
今は彼女の無事をただただ願うしかなかった。
聖知は俺にとって特別な存在だ。
聖知は………俺の……
いや…
今は無事に帰ってくることだけを考えよう。
俺は、再びコートへと戻った。
ーー赤司視点終了ーー